CM総合研究所(関根建男代表)が発表した優秀CMの年間ベスト10。平成17年11月から18年10月までの間に、視聴者が好感を持ち、購買に結びついたCMを評価しており、この1年のさまざまな動向が透けてみえる。
ライバル激突
今年は番号ポータビリティ制度の導入で、auのKDDIとNTTドコモ、そしてソフトバンクモバイルが激しいCM合戦を繰り広げた。なかでもKDDIは1万1000回(金額換算で約76億円)ものCMの大量投入し、ドコモの6000回(同26億円)を大きく引き離し、顧客獲得とCM好感度の両面で成功を得た。
他の“CMバトル”では、「記憶にとどめておくべき成功例」と関根代表が注目したのが、東京ガスの「ガスパッチョ」キャンペーンだ。
「オール電化」をうたう東京電力に押され気味だった東京ガスは、1月に妻夫木聡を起用したこのシリーズを投入。歴史上の人物と妻夫木のユニークなやり取りが若者を中心に支持され、取り上げた商品が軒並み売り上げを伸ばした。
一方で、東京電力も鈴木京香を起用した「Switch」で高齢者を中心に支持を集めており、今後も火花を散らす戦いが繰り広げられそうだ。
業界にショック
12人の女性陣を使うぜいたくな手法で話題をさらった資生堂「TSUBAKI」。シャンプーCMが年間ランキング上位に入るのは珍しいが、堂々の2位を獲得した。
関根代表は「女性だけでなく20〜40代の男性にも高い好感を得ており、久々のクリーンヒット。このCMは業界のあちこちで相当研究され、影響を与えている」と話す。
資生堂は別の化粧品でも複数タレントを起用、相乗効果を狙う路線で成功した。関根代表は「自信のなさそうなCMが最近多かったが、これから勝つのは、TSUBAKIのような自信を持って金と手間をかけたCMだろう」と分析している。
キムタク、仲間由紀恵が1位
タレント好感度を見ると、男性部門では、14社のCMに出演した木村拓哉が前年の2位から1位に返り咲いた。女性部門では、極端に露出が多かった仲間由紀恵が獲得。3位にはトリノ五輪金メダリストで、TSUBAKIなどに出演した荒川静香がランクインした。
キャラクター部門ではNTTドコモの「ドコモダケ」が1位に。一昨年から2年連続1位だったアイフル「くぅ〜ちゃん」は同社が4月からCM自粛したために失速。それでも3位に入ったのはさすがだ。