世界に愛されたギャグセンス
「トムとジェリー」生みの親 ジョゼフ・バーベラさん死去
東京朝刊
【ロサンゼルス=松尾理也】アカデミー賞を7回受賞したアニメの名作「トムとジェリー」などの生みの親として知られるアニメ映画作家、ジョゼフ・バーベラ氏が18日、老衰のため、ロサンゼルスの自宅で死去した。95歳だった。
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米ロサンゼルスで2005年3月、自らが生み出したアニメキャラクターのトムやジェリーに囲まれるバーベラ氏(ロイター) |
1911年、ニューヨーク生まれ。銀行勤務などのかたわら雑誌への漫画の投稿を続け、37年に米映画会社MGMに入社。そこで、終生名コンビを組むことになる元建築技師、ウィリアム・ハンナ氏と出会った。
2人は40年、短編映画「上には上がある」を発表。このネコとネズミの物語が「トムとジェリー」シリーズの最初の作品とされるが、当時はネコの名前はトムではなくジャスパーで、ネズミはジェリーではなくジンクスという名前だった。
作品はたちまち評判を呼び、その年のアカデミー賞にもノミネートされたほか、40年代には「雨に唄えば」などで有名なミュージカルスターのジーン・ケリーと共演した作品も製作されるなど、大成功を収めたシリーズとなった。
その後、テレビの台頭に押される形でMGMがアニメ部門を閉鎖したのに伴い、独立して「ハンナ・バーベラ・プロダクション」を設立。低予算のテレビアニメに進出し、テレビ番組版「トムとジェリー」や、「原始家族フリントストーン」「宇宙家族ジェットソン」「弱虫クルッパー」など人気シリーズを連発、多くは日本など世界中で放送された。
バーベラ氏が鋭いギャグとユニークな絵で知られる一方、ハンナ氏は温かいキャラクター作りを得意とした。ニューヨーク・タイムズ紙によると、2001年に亡くなったハンナ氏は、バーベラ氏について「物事の雰囲気を素早くつかみ表現することにかけては右に出る者はいなかった」と評した。
ハンナ・バーベラ・プロダクションはその後、ワーナー・ブラザースのアニメ部門として吸収された。ワーナー・ブラザースのメイヤー会長はAP通信に対し、バーベラ氏が生み出したキャラクターについて「アニメのスーパースターというだけでなく、数ある米大衆文化の中で最も人々に愛された一つでもあった」と振り返った。
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