悩みも社会の世相を反映
“新宿の母” 街頭50年、心の灯台守
東京朝刊 by 酒井潤
「運勢は自分で変えるもの」−。東京・新宿の街頭で延べ300万人を占い、“新宿の母”と慕われる栗原すみ子さんはこう話す。占い師生活50周年の今年、フジテレビ系で半生を描く「新宿の母物語」(22日後9・0)が放送されるほか、コミックや書籍の出版、ヤフーや携帯電話のサイトで特集されるなど、多様なメディアで記念企画が動いている。76歳のいまも、週3回は新宿に立つ栗原さんに聞いた。
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新宿の母が立つ場所と長蛇の列は今と変わらない=昭和37年ごろの東京・新宿3丁目 |
「昔は西口周辺はずっとトタン屋根。交番も木造だった」。栗原さんが新宿3丁目のデパート伊勢丹前に場所を定めたのは昭和33年4月。「場所代を取られたり、道交法違反といわれて警察に出頭したり、いろいろありました」と振り返る。
街頭では、トイレに行かず、食事もせず。「集中してますから。暑いときは首を氷で冷やすけれど、冬は熱中して暑くなるから、どんどん薄着になる」という。人気は高く、前日の終電から並び始める人もいるという。
「始めたころは、みんな貧しくて食べるために精いっぱいの人がきた。最近は児童虐待やリストラ、不倫の相談が多い」
街の人々と触れ合いながら、この半世紀を感じ取ってきた栗原さん。「もう20年若ければ、とも思うけれど、これからも人の心の灯台守として立ち続けたい」と言う。
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