世界で異常気象
暖冬なのは…4年ぶり発生のエルニーニョ現象
東京朝刊
気象庁は異常気象の原因とされるエルニーニョ現象がこの秋4年ぶりに発生し、来春まで続くと予想している。今回は小規模とみているが、世界各地で既に異常気象が発生しており、国内も暖冬の可能性が高そうだ。
エルニーニョは、南米ペルー沖の太平洋赤道海域で、海面水温の高い状態が長期間、続く現象。暖水域の移動により、平常だとインドネシア付近で発達する積乱雲の位置が東に偏るなど、世界的に大気の対流活動に影響するとされる。
インドネシアでは少雨に伴う森林火災の煙害で10月、旅客機が着陸に失敗。首都のジャカルタでは8月の降水量がゼロ、10月も11ミリと平年の約10%だった。東南アジア各地で健康被害も出た。
オーストラリアも干魃(かんばつ)に見舞われ、小麦の生産量が前年比6割減の恐れ。キャンベラでは8−11月の雨量が計75ミリと平年の約30%で、同国の気象当局は「南東部の降水量は1900年以降、最低水準」としている。
逆にアフリカ東部では豪雨災害。エチオピアやソマリア、ケニアでは11月だけで計約250人が死亡、180万人以上が被災したという。
高緯度の日本列島は影響が小さいとみられるが、エルニーニョ発生年は暖冬傾向が強い。この冬も西高東低の冬型の気圧配置が長続きせず「冬晴れ」が多いはずの太平洋側を頻繁に低気圧が通過。今月7−13日の1週間でみると、近畿から九州にかけての太平洋側や四国の大部分で降水量が平年の3倍以上だった。
エルニーニョ現象
太平洋赤道海域を吹く東風の貿易風が弱まって、海面付近の暖かい海水が西に吹き寄せられなくなり、東側のペルー沖で海面水温が高くなる現象。気象庁では、ペルー沖で海面水温の5カ月移動平均(当該月とその前後2カ月の平均)が基準値(前年までの30年の平均)より0・5度以上高い状態が6カ月以上続いた状態と定義。来春にエルニーニョと正式認定されれば4年ぶり。エルニーニョはスペイン語で「男の子」の意味で、ペルーの漁師が同現象をこう呼んだのが由来。
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