玄関ドアを彩るクリスマスリースを目にする機会が増えてきた。かわいいサンタクロースがついていたり、木の実の飾りだけでシックな装いだったりと、その装飾具合が家庭の雰囲気を伝えるようでほほえましい。手作りなら尚更のこと、ぬくもりのあるリースとなる。心温まる家族のストーリーを求め、リース作りの教室を訪ねた。
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家族の顔を思い浮かべながらリースを作る。心温まるクリスマスの風物詩だ=東京都渋谷区の「アニバーサリー」(撮影・津川綾子) |
ハサミで「チョキン」とモミやヒバの枝を切ると、清涼感のある香りがぱあっと立ちのぼる。クリスマスを半月後に控えた12月上旬、フラワーアレンジメントスクール「アニバーサリー」(東京都渋谷区)ではクリスマスリース作りの教室が開かれた。
「リースをプレゼントして妻をびっくりさせたい」と教室に参加したのは会社経営の磯貝俊介さん(47)。妻には「仕事の打ち合わせがある」と告げ、内証で参加した。リース作りはむろん初めてのこと。
「これ何? モミ?」などと尋ねながら花材にハサミを入れていく。クリーニング店のものと同じワイヤで作った輪に、葉付きの小枝を巻き付けて土台から作る本格的なリースだ。
「ぎゅっと(土台となる常緑樹の)束を握って、ひもで締め付けるのがコツ。リース作りは意外と男性向きなんですよ」とフラワーコーディネーターの山口美緒さんが言うやいなや、力余って枝を結ぶ麻ひもがちぎれ、先生に結び足してもらう。しかし助けを借りたのはその場面だけ。左右対称にマツボックリを飾りつけ、サンキライの赤い実のほか、グレー色のシルバーブルニア、深い藍(あい)色のブルーベリージュニパーなど渋めの実で色付けをし、1時間ほどで完成した。
壁に飾ってバランスを見てひと言、「いいねえ〜。店で売っている薄っぺらいのと全然違う!」と満足げ。直径約30センチ。参加者の誰よりも大きくできたリースを箱に入れ、「(妻は)ケーキじゃないかと間違えちゃうかも」と、妻との待ち合わせ場所へと急いだ。
それぞれの好みで装飾ができるため、例えば、子育てママが作るリースはがらりと雰囲気が変わるという。
「幼稚園ママのグループに教えると、クリスマス模様の布でティッシュをくるんで、キャンデー型や(リボン付きの)プレゼント型にした飾りが人気です」と山口さん。秋に子供と拾ったマツボックリがあれば、針金で留め具をつけ飾っても楽しい。
もっと気楽にリース作りに挑戦する方法もある。
「トウやブドウのつるでできたリースの土台に、『ピック』と呼ばれる、ワンタッチで付けることができる小物を組み合わせて飾っていく、そんな手軽な作り方の人気が高まっているようです」と語るのは、手芸用品大手の「ユザワヤ」(東京)の武隈評吾・商品部マネージャー。かわいいクリスマスモチーフの「ピック」を選べば子供好みに、大人っぽい色合いのシルクフラワーを選べば大人風になるという。総額2000円程度でできるそうだ。