わんこそば、盛岡冷めん、じゃじゃめん−。盛岡市で3種類の名物めんを連携して売り出す機運が高まっている。ばらばらだった各業界が相乗効果も狙い、動きだした。滞在が短く食事回数も限られる観光客にどう訴えるか課題もあるが、市は「これだけ個性的なめんがそろうところはない」。「めん都、盛岡」のアピールに意欲的だ。
総務省の昨年の調査では、盛岡市はめん類への世帯平均支出(外食を除く)が月1278円。都道府県庁所在地で一番のめんどころだ。
三大めんのうち、一番の古株はわんこそば。同市出身の「平民宰相」原敬が「そばはわんこに限る」と語ったとも。盛岡冷めんは朝鮮半島が起源で、戦後に発展。弾力あるめんや、透明でこくのあるスープで知られる。じゃじゃめんは中国のジャージャーめんがルーツ。戦後、引き揚げ者が肉みそや酢、ラー油などをめんにからめて食べる形を考案した。
市は全国のめんを集める「めんサミット」や、屋台通りの設置などを構想する。坂田裕一ブランド推進室長は「もてなし料理のわんこそば、外食として浸透した盛岡冷めん、熱烈なファンの多いじゃじゃめん。それぞれの文化と一緒に売り出したい」と意気込む。
各業界による実行委員会が今年10月下旬に開いた三大めん合同の屋台村は、初開催の昨年に続き行列ができた。
藤井栄二事務局長は「これからも続けたい」と手応えを話す。10〜11月には49店が参加したスタンプラリーも開催した。
ただ、足並みがそろっているわけではない。わんこそば関係者は「今の人気は冷めん。相乗効果で客が流れてくれれば」と狙いを打ち明ける。
1泊2日の旅行でわんこそばと冷めんを食べた大分市の会社員、太田剛徳さん(33)は「同僚から聞いた三大めん全部を食べたかったけど、じゃじゃめんは時間がなくお預けです」と残念そう。
坂田室長は「石川啄木、宮沢賢治などの観光要素とめんを組み合わせて街の魅力を高め、観光客の長期滞在につなげることも必要」とする。
盛岡商工会議所の小原富彦専務理事は「業界が協力して付加価値を生み出すことが大切。連携は始まったばかりで今後に期待したい」と話す。