通常の5割ちかい価格で提供
若者に「旅のススメ」 卒業旅行商戦が過熱
東京朝刊 by 内田博文
大学生を中心とした「卒業旅行」商戦が過熱している。大手旅行各社は、卒業旅行向け商品の発売時期を前倒ししたり、1日あたり1万円換算の欧州ツアーなど、通常のパッケージツアーよりもさらに割安な商品を企画。若者の旅行離れが進むなか、「採算度外視」の大サービス価格を打ち出し、将来の「顧客予備軍」を懸命に囲い込もうとしている。
欧州が半額
旅行会社大手のJTBでは、卒業旅行専門のパンフレット「ガクタビ」を作成した。メニューの目玉は、18〜25歳の学生を対象としたロンドン・パリ・ローマの欧州1週間7万円のツアー。1万円台のサイパン4日間(1万4800円)や上海・北京3日間(1万9800円)など、いずれも一般のパック旅行の5割近い割安ツアーを設定した。
「前年に比べ2倍近い予約ペース。すでに欧州ツアーなど一部で満席のコースもある」(広報室)と反響も上々で、期間中に前年比2割増の約1万5000人のツアー客を見込む。
対する近畿日本ツーリストは、3人以上のグループならツアー代金を1人2000〜3000円割り引くほか、パリ8日間で8万9900円など「通常の半額近い価格」(総務広報部)の商品を投入。また、エイチ・アイ・エスは卒業旅行向け商品を1カ月前倒しして10月から発売したほか、出発60日前までに予約したグループには旅行代金全体から最大10万円割り引くツアー商品も打ち出した。こちらも「昨年同時期と比べ10%近く予約の出足が伸びている」(同社経営企画室)という。
採算度外視
各社が学生旅行の囲い込みに力を注ぐ背景には、若年層の旅行市場が年々、縮小している現状に対する危機感がある。
日本旅行業協会の調べでは、海外旅行者数に占める20代の割合は、平成7年の27・7%から17年には17・7%へと10年間で10ポイントも低下。「バックパッカーなど学生の長期旅行者は激減しており、若年層の旅行離れが著しい」(同協会)状況だ。将来の「顧客予備軍」ともいうべき学生需要の掘り起こしは、旅行業界にとって先行投資ともいえる。
ただ、一連の激安卒業旅行パックは、「採算割れ覚悟で設定したコースも少なくない」(大手旅行会社)のが実情。全体の旅行者数もこの10年で3割近く落ち込んでいる。卒業旅行の格安パック投入を卒業後の顧客拡大につなげるには、“二の矢三の矢”のアイデアが必要になりそうだ。
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