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“悪臭”ギンナン消える!?
雄木に植え替え 御堂筋イチョウ 
  大阪夕刊 
来年、開通70周年を迎える大阪のメーンストリート、御堂筋(国道25号、約4キロ)を彩るイチョウ並木に“異変”が起きている。秋に雌木に実るギンナンのにおいが敬遠され、実を踏んだ車がスリップするケースもあることから、実がならない雄木に植え替えが進められているのだ。かつて約400本あったという雌木は半分近くに減少。将来は秋の風物詩の「ギンナン落とし」が姿を消す可能性もあるという。

においが敬遠され、雌木のイチョウが年々減少している。ギンナン落としが消える可能性もある=午前11時、大阪市中央区

御堂筋は昭和12年、大阪のキタとミナミを結ぶ道路として完成。沿道に植えられた約800本のイチョウ並木が有名で、紅葉シーズンには美しい黄色のラインが道路を彩る。また、御堂筋を管理する国土交通省が実施しているギンナン落としも市民に親しまれている。

しかしギンナンの実は地面に落ちると、強烈なにおいを放つため、同省はギンナン落としのイベントとは別に、夜や未明にギンナンを落として回収。その量は約5トンにのぼるが、完全な回収は難しく、ギンナンを踏んだ通行人や周辺の店舗から、においへの苦情が絶えない。また車がスリップする危険性も指摘されていた。

このため同省からイチョウの管理を委託されている大阪市は昭和56年から、倒木の恐れなどを理由にイチョウを植え替える際には、実がならない雄木を植えているという。植え替えは1年に数本から数十本単位で行われており、約400本あったとみられる雌木は約270本に減少。雄木が約620本に増えた。イチョウの雌雄は外観からは区別がつきにくいため、異変に気づく市民はほとんどないという。

大阪市北部方面公園事務所によると、今後も雄木への植え替えを進める方針で、「このままいけば将来は雌木はゼロになる。ギンナンもなくなり、風情がなくなるのは避けられない」としている。

大阪市立自然史博物館の佐久間大輔学芸員は「ギンナンのにおいが嫌だといって雌木を取り除くのは、自然を楽しむ機会が失われることになり、さびしい」と話している。



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