顧客獲得ドコモvs.au
「ケータイでアルコール検知」需要拡大
東京朝刊
全国で飲酒運転による悲惨な事故が相次ぐ中、NTTドコモとKDDI(au)が法人顧客向けに開発・投入した、携帯電話を利用したアルコール検知システムの販売が好調に推移している。バスやトラック運送会社からの引き合いが多く、年末の忘年会シーズン突入で、顧客獲得競争が激しくなってきた。
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携帯電話を利用したアルコール検知システムが売れている(写真はKDDIのシステム) |
ドコモは今年6月、計量器メーカーのタニタ(東京)と共同で「アルコールチェックシステム」の販売を始めた。アルコール検知器を携帯電話「FOMA」につなげてドライバーが検知器に息を吹きかけると、呼気のアルコール濃度が携帯経由で会社のパソコンに送信される仕組み。テレビ電話を利用して、遠隔地でも本人確認が簡単にできるのが売りだ。
栃木県中心にバスの運行を手がける関東自動車は10月、本格導入を決めた。従来は対面式でアルコール検査していたが、ドコモのシステムでは「遠隔地などで対面相手がいない場合に利便性が高い」(総務担当者)と判断し、貸し切りバス85台に取り入れた。
飲酒運転防止の機運に乗り、ドコモは半年足らずで40社以上に販売。検知器が1台約2万円、受信用パソコンソフトが約7万円と高価だが、「年末にかけて数十件以上の商談がある」と、うれしい悲鳴を上げる。
一方、KDDIも昨年末から、東海電子と共同で携帯電話を利用したアルコール検知システム「ALC−モバイル」の販売を行っている。auではカメラ付き携帯電話にGPS(全地球測位システム)機能を利用し、ドライバーの場所を特定できる。小田急バスや国際興業、小湊鉄道など「30社以上に400台以上販売」と販売実績を重ね、ドコモと互角の競争を続けている。
今後も飲酒運転に対する社会の目は厳しくなると予想され、国内市場の頭打ちに悩む携帯各社は、需要拡大の好機とみて営業を強化していく。
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