5ナンバー車は大きく減少
3ナンバー車に底打ちの兆し 好調維持の「軽」と二極化
東京朝刊 by 小雲規生
軽自動車以外の登録車の国内販売が低迷するなか、車体の大きい「3ナンバー車」に底打ちの兆しが出てきた。11月の3ナンバーの販売台数は2カ月連続で前年同月比プラス。一方の「5ナンバー車」は大きく減少し、10カ月連続のマイナスだ。各社の3ナンバー車は高級感で人気を博しており、好調が続く軽自動車との「二極化」の現れといえる。ただ、新車頼みの販売増が長続きする保証はなく、各社は3ナンバー車のブランド力をじっくりと守り育てる必要がありそうだ。
連続でプラス
日本自動車販売協会連合会によると、11月の登録車(乗用車のみ)の販売台数の伸び率は同6・1%減。17カ月連続のマイナスと相変わらずの低迷だ。
しかし、このうち3ナンバー車は同4・3%増。昨年7月から今年9月までは15カ月連続マイナスだったが、10月、11月は連続でプラスを記録した。一方、5ナンバー車は12・4%減と10カ月連続のマイナス。6月以降は6カ月連続で2ケタ減が続いており、明暗が分かれた。
高級感でヒット
3ナンバー好調の背景は各社の新車投入にある。今年1月にフルモデルチェンジしたトヨタ自動車の「エスティマ」は、1年近く経過しても人気を維持。11月20日に発売された日産自動車のスカイラインは10日間で2000台以上売れた。
トヨタの高級車ブランドであるレクサスの「LS460」(セルシオの後継車)やホンダの「CR−V」、三菱自動車の「パジェロ」など、9月以降、各社を代表する車種の新モデルも相次いで投入された。
一方で、価格や維持費が安い軽自動車の販売台数が11月で11カ月連続プラス。業界内には「コストが安い軽自動車と高級感のある3ナンバーへの二極化が進んでいる」との分析もある。
ブランド育成
ただ、各社には「ここ数年、新車投入による台数押し上げ効果が短くなってきている」(首脳)との実感がある。ある関係者は「相次ぐ新車投入が消費者の目を移り気にさせている」として、各社の販売台数維持を狙った新車投入がかえって人気の短命化を招く悪循環を危惧する。
底打ちの兆しがみえる3ナンバー市場を拡大させるには、ブランド強化を見据えた長期的な新車育成が必要といえそうだ。
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【用語解説】3ナンバー車
自動車の大きさ・排気量による種別の一つで普通自動車の通称。(1)全長4・7メートル以下(2)全幅1・7メートル以下(3)高さ2・0メートル以下(4)排気量2・0リットル以下の4つの条件のうち、一つでも満たさないものがあれば、3ナンバー車とされる。4つの条件全てを満たす自動車は、5ナンバー車(小型自動車)と呼ばれる。
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