ファミレス「ロイヤルホスト」を展開するロイヤルホールディングスは4日、東京農業大学との産学連携で、かみごたえがあり、咀嚼(そしゃく)力をつけることで“頭が良くなる”新メニューを共同開発したと発表した。大手外食では初の産学連携メニューとみられ、両社は今後、生ごみの肥料化や食育などさまざまな分野で産学連携に取り組む。
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ロイヤルホールディングスが東京農業大学と共同開発したメニュー。かむ力をつけることに主眼が置かれた=4日、東京都世田谷区 |
共同開発し、5日から全国の同店で提供するのは「かむかむ30」シリーズ第1弾の「発芽玄米の健康プレート&スープ」。価格は1200円。玄米や鶏の胡麻(ごま)焼、根菜入りスープなど、かみごたえのあるものを中心に30品目もの食材を使用したのが特徴だ。
よくかむと脳内の血流量が増えるとともに脳細胞の働きが活性化するといわれている。満腹感を早めに感じ、食べ過ぎないという効能もある。
東農大応用生物科学部の教授ら食品栄養関連の専門家が「軟らかく食べやすい食事が主流になっており、日本人のかむ力は弱くなっている」と分析し、咀嚼力をつけるメニュー開発を提案。これを受けて、ロイヤルのメニュー企画部や料理長、栄養士らが協力してメニューを試作。試行錯誤を経て、今回のメニューが生まれた。
ロイヤルは来年、四半期ごとに年4回、咀嚼力をつけるメニューを東農大と共同開発し、全店に投入する方針。また、店舗から出された生ごみを東農大の技術指導によって肥料化し、それを使って栽培した野菜を食材として使用する“リサイクル”を進め、今月下旬、ホウレンソウを初出荷する。
少子高齢化に伴う人口減や嗜好の多様化などでファミレスを取り巻く環境は厳しい。ロイヤルは「消費者のニーズが大きく変わっており、すべてを自前でやることは難しくなった。新しい切り口を提案するため、科学的手法を用いた」と、産学連携の背景を説明する。
産学連携には、大学の研究者らが独自技術を生かして起業し、「大学発ベンチャー」を立ち上げるケースと、既存の企業と大学の研究者が連携する場合がある。
後者のケースでは、例えば、ビールの主原料ホップの抽出物に関して、キリンビールは昭和女子大生活科学科、アサヒビールは千葉大学大学院医学研究院の専門家と共同で研究している。バイオ関連も大学との距離は近く、宝酒造グループのタカラバイオ(大津市)も、大阪大学蛋白質研究所と共同研究を進める。
外食産業では、大手はそれぞれがメニューの企画部門を持っていることなどから、産学連携は難しいとみられていたが、今回は、「大手では初」(ファミレス関係者)の試みとして注目される。