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巻き返しへ虎視眈々
「レクサス」逆上陸1年…想定外の低調
8月30日(水) 東京朝刊 by 小雲規生
トヨタ自動車が昨年8月に投入した高級乗用車ブランド「レクサス」が30日で1周年を迎える。7月までの累計販売台数は目標を大きく下回り、ライバルのメルセデス・ベンツ、BMWの半分程度という低調な1年だった。ただ、足下ではハイブリッドタイプが販売を伸ばしてきたほか、来月は旗艦車種「LS」(セルシオの後継車)の販売も始まり、巻き返しに向けた動きも着実に進んでいる。

鳴り物入りで登場したトヨタ自動車の高級ブランド「レクサス」だったが、発売後1年は販売目標を大幅に割り込んだ=大阪市内の販売店

1989年に米国で発売したレクサスは、品質の高さから高級乗用車としてのブランドを確立。昨年8月末、鳴り物入りで日本に逆上陸した。しかし、今年7月まで実質11カ月の累計販売台数は2万3242台。1カ月平均で約2100台と、目標の3000台を大きく下回った。

レクサス上陸のあおりを受けるとされたメルセデス・ベンツやBMWは前年同月比10%以上の伸びを達成。ダイムラー・クライスラー日本ホールディングのハンス・テンペル社長は、「レクサスのように新ブランドが参入することで市場が大きくなる」と余裕の笑みでレクサスの影響を評価してみせた。

こうしたレクサス低迷の最大の要因は、ベンツやBMWに勝るブランドイメージを確立できなかったこととされる。日本でのレクサスの最高価格は772万円。1000万円以上の車種がそろうベンツやBMWに比べると、富裕層には物足りないラインアップだ。

一方で、ソファなどの調度類まで高級品をそろえたレクサス販売店は、既存のトヨタ車ユーザーには敷居が高く、「お金をかけて店舗を改装したディーラーには不満が高まっている」(業界関係者)との指摘もある。

ただ、2月に発売したハイブリッド車「GS450h」はレクサスブランド最高級車ながら、7月の販売実績ではレクサス全体の3割以上を占めた。「環境性能という付加価値が加わり、ユーザーを引きつけることができた」(トヨタ)という。

9月19日に発売される「LS460」は1000万円クラスの旗艦車種だが、すでに各ディーラーが始めている予約注文も好調。トヨタは「LSでさらにレクサスのブランドポジションを高めたい」(笹津恭士副社長)と自信をのぞかせる。

LSには歩行者との衝突を回避するための最新の安全技術を搭載し、来年春にはハイブリッド車も投入する。こうして、ベンツやBMWにはないレクサスだけの魅力を打ち出すことが、巻き返しへの一歩となりそうだ。



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