何気ない日常会話が描き出す世界
舞台「獏のゆりかご」 劇作家、青木豪に聞く
8月29日(火) 東京朝刊 by 柳谷昇子
劇作家の青木豪が書き下ろし、演出も務める舞台「獏のゆりかご」が9月1日から、東京・新宿の紀伊國屋ホールで上演される。杉田かおる、高橋克実、段田安則、マギーら個性派の出演により、巧みな会話劇で見せる。
舞台は、小高い山の上にある小さな動物園。そこで働く面々の人間関係と心もようが交錯するうち、やがてそれぞれの秘密や悩み、喜びが浮かび上がっていく。
「当て書きした人もいますし、現場(けいこ)に入ってから言葉のクセに合わせて手直しした人も。見ていくうちに、この人とこの人はこういう関係だったんだ…と分かっていく方が面白いと思う」と青木。あえてあらすじを説明し過ぎないのが手法のひとつだ。
青木は、ごくふつうの生活の中で何気ない会話を重ねながら微妙な人間関係を描き出す劇世界を得意としている。本作では笑いと涙、哀感、そして分かりやすさを要素に温かい余韻を残す。
「かつては途方に暮れたまま終わる作品もあったのですが、自分の人生を否定したくない、自らを肯定しないとだれも肯定してくれないと思い始めてから変わりました。人生はつらいことが多いものですが、逃げずに1人で立って生きていこうということを受け止めていただければ」
ほかに小松和重、池谷のぶえ、明星真由美、安田顕らが出演。
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29日まで。(電)03・5423・5906。
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