世界的チェーンであるヒルトンホテルの令嬢で、華やかな私生活やルックスが日本の若い女性の間でも人気のパリス・ヒルトン(25)がCDアルバム「PARIS」で歌手デビューを果たした。このCDの宣伝のために来日、22日東京都内のホテルで記者会見した。
すでにセレブレティ、モデル、女優、事業家…と多彩な顔を持つが、「子供のころから歌手になることが夢だった」と語るように、会見前に行われた写真撮影には、デビュー曲をバックに軽やかな足どりで現れた。白地に赤の水玉模様のサマードレスをひらりとまとい、得意の上目づかいでカメラマンたちを虜にした。
定刻より30分遅刻。写真撮影に続いて始まった記者会見では「日本に来ることができてうれしく思っています」。着席すると、撮影時の軽やかな身のこなしも、米国で度々報じられるおてんばぶりも封印。細身の体をさらにすぼめるようにして神妙に挨拶した。
デビューアルバムは23日、世界で同時発売される。R&B、ヒップホップ、レゲエなど天真爛漫(らんまん)なパリスを象徴するかのような曲調が選ばれ、うち5曲は作詞も手がけている。
「友情や恋愛、家族のことなど私の体験に基づいて歌詞を書きました。ですから女の子が聴いて楽しめる曲だと思います」
プロデュースはビヨンセやクリス・ブラウンを担当する若手の新鋭、スコット・ストーチ。英ベテランロック歌手、ロッド・スチュワートの昔のヒット曲「アイム・セクシー」のカバーも収録しているが、ロッド本人に直接会って許可を願い出たなどセレブならではの秘話もある。
報道陣からは「すでに得た知名度を生かした歌手デビューだが」と手厳しい質問も飛んだが、「幼いころからピアノとバイオリンを習ってきました。音楽に親しむ環境が自然とありました。私がいかに真剣かは作品を通して分かってもらえると思います」と真摯(しんし)に語った。
控えめに語る一方、報道陣のひとりが着ていた派手なTシャツに注目するや「かわいい色。胸にはなんという文字が書かれているの?」と問わずにいられないマイペースぶりも発揮した。
今後の夢を問われて「近々、男女ペアの香水をだす予定です。メイク用品やランジェリーの展開も考えています」とビジネスウーマンの顔ものぞかせた。
西洋には「銀のスプーンをくわえて生まれてきた子供は幸せになる」という言い伝えがある。パリスは“ヒルトン”という大きなスプーンをくわえてこの世に生を受けたが、物怖じせずに新天地に飛び込むし、“成功”に欲張りでもある。
会見ではさまざまな表情を見せたが、「自分を、夢を、心を信じることが大切。そして自分を好きでいること。いい人でいること」という言葉が印象に残った。お嬢様らしい、しかし偽りのない、パリスならではの原動力はそこにあるのだろう。