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乗客は好調、沿線開発に課題
つくばエクスプレス 開業1周年
8月22日(火) 東京朝刊
昨年8月に営業開始したつくばエクスプレス(TX)が24日で、1周年を迎える。鉄道の“空白地帯”だった秋葉原〜つくば(茨城)間を結ぶ首都圏最後の大型新線だけに、今年度に入ってからは1日平均約18万人が利用するなど、利用者数は当初計画を上回るペースで順調に伸びている。ただ、少子高齢化で鉄道利用者が今後、頭打ちとなることが予想される中、利用者増を図るためには、住宅や商業施設など沿線開発の活性化が課題だ。

地域の足に定着 つくばエクスプレスが開業1周年
地域の足に定着 つくばエクスプレスが開業1周年


TXを運営する第3セクター「首都圏新都市交通」によると、営業開始初年度にあたる18年3月期の輸送人員は約3469万人。1日の平均利用者数は約15万人と、当初予想の13万5000人を大きく上回った。さらに新年度となった今年4月以降は18万〜19万人と順調に伸びており、開業3年目の目標だった1日平均17万8000人を上回るペースとなっている。

営業開始直後は、定期券以外の通常の切符による乗客数が、定期券利用者を上回っていたため「当初は開業効果や新線の物珍しさで乗りに来られた方も多かった」(同社)。現在は6対4の比率で定期券利用者が上回っており、地域の足として着実に根付き始めた。 開業1周年にあたる24日からは、車内での無線LANによるインターネット接続サービスも開始するなど、利用者増にむけた施策にも余念がない。

ただ、同社では平成22年に1日平均27万人の利用を目標に掲げており、今後5年間で約9万人を上乗せする必要がある。不動産各社は、住宅や商業施設など沿線開発に工夫を凝らし、住民確保に力を入れる業者がある一方で、慎重な業者も少なくない。

三井不動産は柏の葉キャンパス駅前に、大規模商業施設「ららぽーと柏の葉」(11月開業予定)を建設。また、流山おおたかの森駅前にオリックス・リアルエステートと東京建物が建設中の大型マンションは、競争倍率が30倍近くに上るなど、即日完売の物件も続々と出ている。

TXの開業効果を反映して、今月1日に公表された路線価では、東京での始発駅となる秋葉原駅前が5%以上も上昇し、沿線の人気ぶりを裏付けた。

だが、千葉県内の柏たなか駅前や茨城県内の万博記念公園駅前では、区画整理の遅れなどから、マンション建設や商業施設の誘致にも遅れが出ている。ある大手デベロッパーは「街の将来性、発展性を見極めるため、多くのデベロッパーが静観している」と指摘しており、開発の進捗(しんちょく)には二極化の兆しも出始めた。

不動産業界内からは「区画整理や商業施設の誘致では、沿線の自治体に熱心さが足りない」との不満の声もある。沿線開発計画では、18地区約2900ヘクタールを宅地や商業地として開発する予定だが、実際に開発が進んだのはまだわずかだ。各駅間での格差拡大は必至で、沿線開発はこれからが正念場となりそうだ。

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