食材の色には人の心を癒やしたり、パワーを与えるエネルギーがある。健康に役立つ栄養素や食材の本があふれるなか、食べ物の「色」が持つ力に着目し、食べることによってそのパワーを取り入れようという、ユニークな料理本が話題を呼んでいる。
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アボガドの和風ご飯 |
ユニークなレシピ本
「フードカラーセラピスト」として、食べ物の色と人の心理について研究を重ねる山田三津子さんが著した『パワーフード〜色の不思議な力を食べこなすレシピ』(グラフ社)。
気持ちが沈んだときにオレンジや黄色などビタミンカラーの洋服を着ると元気が出たり、ストレスがたまっているときに木々の緑を見るとホッとしたり…。そんな経験はだれもがあるはずだ。
「色が持つパワーやエネルギーを最大限に取り入れるなら、食べて体内に取り入れるのが一番」と山田さんは力説する。
健康ブームで食べ物はまず栄養に目がいきがちだが、「心を元気にしないとご飯もおいしく感じられない。食材の色を食べて、心を元気にしようと提案したかったんです」
同書では料理を赤、ピンク、オレンジ、緑…と10色に分類し、それぞれの色がもつ効果を解説しながら、心身がどんな状態のときに、どんな色の食べ物をとったらいいか、レシピとともに紹介している。料理はいずれも、手を加えすぎず、食材のもつ色を最大限に生かしたものばかりだ。
「赤」は活力UP
山田さんが初めて食の「色」を意識したのは子供のころにさかのぼる。
「畑で見たトマト。葉は枯れているのに、トマトの実は真っ赤で、かじってみるとまさに太陽の味がして、おいしかった。それが強烈な印象として残っていますね」
料理研究家の仕事と並行し、本格的なカラーセラピー(色彩療法)の勉強を始め、セラピストの資格も取得。色が人にもたらす効果と料理とを結び付ける独自の活動を続けている。
今回、同書の製作時にもこんなエピソードが。
牛肉やトマトなどを使った赤色ばかりの料理を前に、「スタッフのテンションがどんどん上がっちゃって。逆に白色のときはクリアに淡々と作業が進んだ。改めて色のエネルギーってすごいなと思いました」
家庭で簡単に始められるのは、朝の1杯のジュース。活力を与えてくれるその色を意識しながら、トマトやオレンジのジュースを飲んでみる。かくいうご自身は、「疲れたときは塩昆布、黒ゴマ、のりなど、黒い食べ物を食べるとすごく落ち着く」という。
また、普段の食生活で色の力を実感できれば、こんな相乗効果もある。
「野菜の皮も、ご飯粒一粒も残せなくなりますよ」