「男の芝居を見にいらしていただきたい」
ひとり舞台「白野」 島田正吾の弟子、緒形拳が挑戦
8月16日(水) 東京朝刊 by 生田誠
俳優の緒形拳による、ひとり舞台「白野(シラノ)」(演出・鈴木勝秀、音楽・朝比奈尚行)が10月、東京・渋谷のシアターコクーン内の特設小劇場で開かれる。エドモンド・ロスタンの名作「シラノ・ド・ベルジュラック」の舞台を幕末から明治の日本に移した作品で、新国劇の沢田正二郎、島田正吾と受け継がれてきた主人公の白野弁十郎を緒形が演じる。
日本での翻案作品「白野弁十郎」が初演されたのは大正15年。新国劇の創立者、沢田が白野を演じ、その後、弟子だった島田がひとり芝居の形にした。平成4年にはパリで上演し、島田は一昨年に98歳で亡くなるまで、長く舞台で演じ続けてきた作品だ。
その島田の代表作に、弟子である緒形が挑戦する。「島田先生が亡くなられて、この秋で三周忌になる。新国劇の男っぽい作品で、『王将』をやるか、『白野』をやるかと考えた。最近は男が芝居小屋にいない。男の芝居を見にいらしていただきたい」と語る。
舞台は、幕末の京都。緒形演じる武士、白野は朱雀隊の隊士で、いとこの千種に恋心を抱き続けていた。ところが、若い隊士の来栖から千種への思いを打ち明けられ、彼の代理で恋の歌を詠むことになる。2人は戦場に赴き、白野は恋の便りを送り続けたが、来栖は戦死。10数年後、白野は落ちぶれて、仏に仕える千種と再会する…。
今回は、トレードマークである大きな鼻をつけない。「白野のコンプレックスのシンボルとして言葉で語りますから。嫌だと思う人、いいじゃないと思う人もいるはず」と、観客の想像力に委ねることを選んだ。
また、コクーンの劇場内に小劇場シアターピューパを設け、チェロの生演奏を交えて芝居小屋の雰囲気を出すのが狙いだという。
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公演は10月14〜17日。
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