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全国172万人、市場規模は4110億円
「オタク」に無尽蔵に潜む商品開発のヒント
8月15日(火) 東京朝刊
「売っているものを集めればロケットさえ作れる」といわれる日本一の電気街、秋葉原(東京)。美少女系のアニメキャラクター商品やゲームを扱う店、「お帰りなさいませ、ご主人様」とメード姿のウエートレスが客を迎えるメード喫茶が集まり「オタク」「萌(も)え」文化の発信地としての知名度の方が高くなっている。

「オタク」「萌え」のメッカ、東京・秋葉原。ゲーマーズの店舗前に設けられた無料案内所は行列ができるほどの人気ぶりだ
「オタク」「萌え」のメッカ、東京・秋葉原。ゲーマーズの店舗前に設けられた無料案内所は行列ができるほどの人気ぶりだ


JR秋葉原駅近くにある「ゲーマーズ」は、そんなオタク、萌えファンをターゲットにした店だ。

8階建ての店舗に並べられているのは、萌え系のアニメキャラのグッズ。フィギュアやコミック、ゲーム、DVDなど「キャラクターものなら、大概のものは手に入る」と同店を運営するブロッコリーの中田知宏さんは胸を張る。夏休みともあって、店は男子中高生たちで大にぎわいだ。

最近のヒットキャラクターは「涼宮ハルヒ」。「今年4月にアニメ化され、関連商品は爆発的な売れ行き」と中田さんは説明する。

ブロッコリーは平成6年創業した。「日本から世界に発信できるものを」と木谷高明会長が大手証券会社を脱サラし、同人誌を販売したり、ダンスパーティーのイベント企画を展開した。その後、池袋に「ゲーマーズ」を出店したのを皮切りに現在、19店舗を展開、上場も果たした。創業当初、数千万円程度だった売上高は、現在80億円にまで成長した。

「最近は欧米や韓国、台湾など海外からの来店者も多く、世界的な広がりを感じさせる」と木谷会長。「メード喫茶」の先駆けとなったイベントを展開するなど「萌え」「オタク」ビジネスの先導役を果たしてきたが、「萌え」市場の広がりには、「若者たちの現実を回避しようとする心理もみえ、ちょっと心配な面もある」とも語る。

野村総合研究所は昨年、「全国にオタクは172万人、市場規模は4110億円」とする調査結果を公表した。デジタルカメラ(約2500億円)とDVDレコーダー(約1500億円)の合計に匹敵する市場規模。1人あたり年間で平均10万〜30万円強を趣味に支出しているとみている。

調査を担当した北林謙主任コンサルタントが注目したのは、規模よりもオタク以外の人への影響力だ。「実はオタクの周辺にこそ企業にとっておいしい有望な市場が広がっている。オタクは企業が気づかないような商品の使い方を編み出し、新市場をつくってくれる」

さまざまな分野でこだわりや探求心を持ったオタクたちがインターネットなどを通じて情報交換し、楽しむためのノウハウを洗練させ、蓄積している。これまで水面下に潜んでいた「オタク」の世界には、商品開発のヒントが無尽蔵に隠れているのかもしれない。

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