平成18年(1〜7月)の国内の家庭用ゲーム市場(ハード機器とソフトの販売額合計)で、携帯型ゲーム機が初めて据え置き型ゲーム機を上回ったことが、ゲーム調査会社・エンターブレイン(東京都千代田区)の調べで分かった。家庭用ゲーム機では、任天堂の「ファミリーコンピュータ」に始まる据え置き型が長らく主流を占めたが、同社の携帯機「ニンテンドーDS」の大ヒットで、自らゲーム市場の流れを変えた形だ。
家庭用ゲーム機はこれまで据え置き型が中心で、ソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)の「プレイステーション2(PS2)」が覇権を握ってきた。だが、昨年末から主戦場が携帯機に移行。据え置き型の「Xbox360」を販売する米マイクロソフトも「今すぐ携帯機への参入はないが、ほかの携帯機器と連携を強める必要はある」(マイクロソフト幹部)とする。
エンターブレインの調査では、家庭用ゲーム市場で携帯機が占める市場規模の割合は、14年の20・3%(953億円)から17年には47・0%(2135億円)にまで上昇。さらに、今年1〜7月までの集計では59・9%(1937億円)となり、9年前の調査開始以来初めて据え置き機とのシェアを逆転した。
原動力となったニンテンドーDSは7月末、国内出荷台数が1000万台を超えた。16年末の発売から20カ月での大台達成で、据え置き型も含めて史上最速のペース。全世界の出荷も2100万台に上っている。今年3月には小型の「ニンテンドーDS Lite(ライト)」が発売されたが、品薄状態が続いている。
DS人気の背景には、タッチペンや音声認識という従来のゲーム機になかった入力機能に加え、「脳を鍛える大人のDSトレーニング(脳トレ)」シリーズのような「世代や性別を問わないソフトを投入したことが大きい」(ゲーム業界関係者)。
今や外出先や電車内でゲームに興じる人の姿も珍しくなくなった。年内にはSCEの「PS3」、任天堂の「Wii(ウィー)」という据え置き型の次世代機が満を持して登場するものの、「携帯電話と同じく、携帯ゲーム機もポータブル(携帯用)からパーソナル(個人用)に変わり、今後も売れ続ける」(浜村弘一エンターブレイン社長)との見方が強い。
ソフト市場もDS向けが上位を占める。累計販売本数が200万本を超える“ダブルミリオンセラー”は、脳トレ2作のほか、「おいでよ どうぶつの森」「Newスーパーマリオブラザーズ」とDS向けシリーズが独占した。
ただ、同じ携帯ゲーム機でも、SCEの携帯機「プレイステーション・ポータブル(PSP)」は苦戦している。直近の6、7月の販売台数はDSに4〜5倍もの大差をつけられており、ゲーム以外の機能強化で巻き返しを図っている。