民間の教育シンクタンクが意識調査
夢語らぬ子供たち 小中学生の4人に3人も
8月15日(火) 東京朝刊
「自分の夢や将来について友達に話すことはしない」のは小学生女子で3人に2人、小学生男子と中学生では4人に3人にのぼることが、民間の教育シンクタンク「麻布台学校教育研究所」(東京・原崎茂所長)が行った意識調査で明らかになった。お互いに深入りせず、当たり障りのない仲を維持する傾向がうかがえ、同研究所は「友達関係の希薄さが夢を口にしない一因」と分析している。
調査を行った麻布台学校教育研究所は、小中高校の退職校長や現職教員、教育委員会の元職員らが昭和58年に設立した教育研究団体。今年1〜2月、都内と神戸市の小学5年生と中学2年生1078人(男子540人、女子538人)を対象にアンケート形式で実施。「子供たちの人とのかかわり」をテーマに、生活習慣や家族、友達とのかかわりについてたずねた。
「夢や将来について友達と話題にするか」の質問には、「しない」と答えたのは小学生が男子77・1%、女子は68・2%。中学生では男子が79%、女子は75・8%を占めた。
「本気でけんかするか」には、小学生は男女とも76%程度が「しない」。中学男子では90・7%、女子も80・3%。「なるべくけんかしないよう気を使う」は小中学生男女とも5割を超えた。
「友達がきまりを守らないと注意するか」に「する」は小学生で男子4割、女子が5割あるのに対して、中学生では男子21・5%、女子で25・8%とほぼ半減。男子より女子が高く、学年が上がると急減する傾向がみられた。
一方、「自分はクラスの役に立っていると思うか」の設問に「思う」と答えたのは男女とも小学生で2割余り、中学生は1割余にとどまった。
口閉ざす一因
同研究所の原崎茂所長の話「夢を描かないのか、夢を語る深い友達がいないのか、この調査では判然としないが、夢を話さない子供がこれほど多いとは意外だった。子供たちの人間関係を築く力が減退しているとの指摘はこれまでの公的調査にも表れている。集団での自分の位置づけや連帯感を味わう実感に乏しい、人間関係の希薄さが夢について子供たちが口を閉ざす一因だろう」
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