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上場例を目指す事業会社も
ロボットビジネス拡大の動き、成長には課題も
8月7日(月) 東京朝刊 by 西川博明
日本の新しいビジネスとしてロボット産業に期待が集まっている。3年後をめどに国内初の新規上場例を目指すロボット専業ベンチャーもあれば、東西の電気街には家庭・趣味向けロボットを売る専門店も登場、ビジネスは活発化している。一方で、ロボットの実用的な活用法にはまだ“決め手”がなく、市場規模拡大にはクリアすべき点はいくつもある。

新製品が続々と登場しているホビー(趣味用)ロボット

上場1号めざす
「今のロボットビジネスは人気先行型。バブルの状況だ」と分析するのは、趣味・教育向けロボットを開発・製造するロボット専業ベンチャー、ヴイストン(大阪市此花区)の大和信夫社長。日本では、ソニーの犬型ロボ「AIBO」が注目を集めた例はあったが、万人に役立つロボット製品の本格的な登場・普及は、まだ“皆無”に等しいとの指摘もあるためだ。

日本ロボット工業会によると、国内のロボットメーカーは約130社。うち資本金1億円未満の中小・ベンチャー企業は50社程度ある。各社の研究開発は活発で、ロボットビジネス拡大の潮流はある。

ヴイストンは「ロボット専業ベンチャーの国内上場第1号にこだわる」(大和社長)との目標を掲げ、平成21年春から夏をめどに、地元・大阪証券取引所の新興市場ヘラクレスに新規上場する方針を固め、株式の新規公開(IPO)の準備に入った。

ロボット開発ベンチャーでは、お掃除ロボット「ルンバ」を世界で100万台以上販売した米アイロボット社が昨年、米ナスダック市場に上場した例があるが、日本の上場例はまだない。ヴイストンは「ロボットの新たな活用法を見つけたい」と試行錯誤しながら、“ジャパニーズ・ドリーム”を描く。

専門店好調も
東京・秋葉原、大阪・日本橋の各電気街に、ロボット関連製品だけで商売する専門店がある。

12年8月、日本初のロボット専門店として開業したツクモロボット王国(東京・秋葉原)は、約30種のロボットを品ぞろえ。売れ筋はラジコンメーカーの老舗、近藤科学(東京都荒川区)の「KHR−2HV」など8万〜9万円台の組み立て式2足歩行ロボット製品が人気の中心だ。同店の売り上げも「年々20〜30%増」(荒井貞博店長)の伸びで、商売は黒字が続く。

消費者の間では、昨年の愛知万博を契機に、ロボットの認知度は着実に上昇している。ただ、製品自体は趣味・教育向けと用途は限られ、参入企業も玩具メーカーが中心だ。現状では普及に限界も見え、「メーカー側には、ロボット事業参入に躊躇(ちゅうちょ)するところも出ている」(大阪・日本橋のロボ専門店)という。

ロボット工業会は、4年後の22年には17年比4・3倍の3兆円に市場が成長すると予測する。産業ロボット以外の新たなロボット関連市場が急拡大するとの見方だ。ただ、こうした推計・予測の根拠は十分ではないと見る向きもある。

市場成長のカギとなるのは、消費者に値ごろ感があり、生活を便利にするロボット関連商品を、メーカー側がいかに提案できるか。今後の注目点になりそうだ。

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