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働く女性に照準
有楽町・銀座 百貨店、相次ぐ出店・改装
8月4日(金) 東京朝刊 by 塩原永久
東京の有楽町・銀座地域で百貨店競争が激しさを増している。西武百貨店は3日、全面改装して9月に開業する有楽町店(東京都千代田区)の概要を発表。狙う顧客層はズバリ「働く女性」で、美しくなるための投資を惜しまないOLを対象に、百貨店をエステやファッション店を集めた“美の殿堂”に仕立て上げる。同地域では出店や増床計画が相次いでおり、各社は独自色を打ち出そうと躍起になっている。

専門性
「これからは地域特性に応じた勝負が必要。有楽町から日本初の『トータルビューティー業態』を打ち出したい」。西武百貨店の大崎文明社長は同日、新装する「有楽町西武F・B」の発表会見で、こう語って力を込めた。

新店は「働く女性の生活領域全般をカバーする」(田中世津子店長)ことを目指し、初年度の売り上げ目標は前年比12%増の209億円。

服飾店やエステ施設のほか、皮膚科医院や金融相談カウンターも設ける。冷え性に効く漢方薬に加え、若い女性に人気が高い自然派化粧品は、日本初上陸のブランドも多く取りそろえた。美容相談員も常駐させる。

大崎社長は特徴的な業態に挑む理由を「顧客ニーズの変化に対応するには専門性を高め、時代の要望をすくい取らなければならない」と話す。

投資ラッシュ
同社が独自色に力を入れる背景には、有楽町、銀座での“出店・増床ラッシュ”がある。

松坂屋は銀座店を建て替え、「ホテルやオフィスを組み合わせた複合タワー」をつくる計画。三越も売り場面積を倍増させる見通しだ。

百貨店の動きにも増して注目を集めるのが、若い女性に支持されるファッションビルの丸井の進出。来年秋にJR有楽町駅前に売り場面積約2万5000平方メートルの店舗をつくる予定で、有楽町西武やプランタン銀座などと、買い物客の奪い合いになるとみられている。

地域競争
その一方で「競争で地域全体の魅力が高まる」と歓迎する向きもある。

銀座から約1・5キロ離れた日本橋では一帯が再開発され、商業施設は好調だ。新宿でも地下鉄新線の開通を見込み、高島屋などの大型投資計画が相次ぐ。

地域間競争が激しくなり、銀座の「地盤沈下」を指摘する声も聞かれる中、「自社もライバルも一緒になって、地域全体で競争力を高めることが大事」(松坂屋)というわけだ。

西武百貨店は今後、都心の店舗すべてで大型改装を施す計画。有楽町店はその最初のケースで、「ここでのテストが成功すれば、渋谷や池袋の改装にも応用する」(大崎社長)と構想を練る。

かつて「買い物は銀座で」と歌われ、時代の発信地だった地域から、新たな「百貨店モデル」が生まれるかどうか。有楽町西武の“実験”に業界の注目が集まりそうだ。

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