食用油「エコナ」の成功 背景に
へルシア緑茶はこうして生まれた
8月4日(金) 東京朝刊 by 山口暢彦
メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)への関心が高まるなか、高濃度の茶カテキンを含む花王の特定保健用食品(トクホ)「へルシア緑茶」がヒットしている。口に含むと、きつめの苦みが印象的だ。
発売は3年前。「へルシア」の名は「ヘルシーをアシストする(手伝う)」に由来する。「候補はほかに、早朝に小鳥がさえずる健康的なイメージから『アーリーバード』など約200挙がりました。最終的に社内でアンケートをとると、『さわやか』『健康感がある』といった理由で『へルシア』が支持されました」と、開発に携わったヘルスケア事業本部の田代和宏さん。
開発のきっかけは、平成11年に出した、体に脂肪がつきにくい食用油「エコナ」の成功。健康の追求を料理に限らず広げたいと考え、翌年、プロジェクトチームを結成した。
へルシア緑茶に含まれるカテキンは540ミリグラムで、急須で入れたお茶の2倍の濃度。カテキンには体脂肪を減らす働きがあることが花王の試験で分かっており、体にとてもいいのだが、そもそもこの濃さだと普通、渋くて飲めない。
「苦み成分であるカフェインを濾過(ろか)しなければならないんですが、フィルターの(カフェイン除去用)吸着剤をどんな種類にするのか、試行錯誤しました」
いろいろなパターンを試し、社外モニターに飲んでもらう。2年間でその数は500人に上った。初めは「(苦くて)飲めない」といった声が圧倒的だったが、いつしか「癖になる」という意見が半数を占めるように。「気に入ってくれる人がこれだけいるなら、『核』となって買い続けてくれるだろう」−。ヒットを確信した瞬間だった。
へルシア緑茶の好評を受け、へルシアはシリーズ化。16年10月に温かい緑茶を今年5月には、スポーツドリンク「へルシアウォーター」を発売した。この新商品は目標の2倍売れる人気となっている。
「へルシアシリーズで、健康というゴールへのシュートをアシストし続けたい」。田代さんは、そう言って笑った。
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