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「戦艦武蔵」「破獄」 
作家 吉村昭氏死去 79歳
8月2日(水) 東京朝刊
吉村昭 「戦艦武蔵」などのドキュメント作品や、「破獄」などの歴史小説で知られる作家、吉村昭(よしむら・あきら)氏が7月31日、膵臓(すいぞう)がんのため、東京都三鷹市の自宅で死去した。79歳だった。東京都出身。葬儀は親族のみの密葬で行う。後日「お別れの会」を開く予定。喪主は長男、司(つかさ)氏。

学習院高等科時代、肺結核のため死と向き合ったことで文学を志し、学習院大で同人誌に参加。後に、同人仲間だった作家の津村節子さんと結婚した。大学を中退後、作家の丹羽文雄さんが主宰する「文学者」に小説を発表した。

昭和41年、若者の集団自殺を題材にした「星への旅」で太宰治賞を受賞。同時に、硬質な筆遣いで建造から沈没までを描いた「戦艦武蔵」を発表、注目を集めた。48年には同作や「関東大震災」などのドキュメンタリー作品で菊池寛賞を受賞。その後も緻密(ちみつ)な取材と筆力で、記録文学などに独自の境地を開拓した。

54年「ふぉん・しいほるとの娘」で吉川英治文学賞、60年「破獄」で芸術選奨文部大臣賞と読売文学賞をダブル受賞。平成9年、日本芸術院会員。

このほか著書に、弟の闘病と周囲の看病を描いた「冷い夏、熱い夏」、「天狗(てんぐ)争乱」「高熱隧道(ずいどう)」「ポーツマスの旗」など多数。産経新聞では昭和50年に「漂流」、平成元〜2年に「白い航跡」の2作の小説を連載した。

また短編「闇にひらめく」は、カンヌ国際映画祭最高賞パルムドールを受賞した「うなぎ」の原作。

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