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ヘイリー インタビュー
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台風11号がゆっくりと通り過ぎた26日の、朝というにはちょっと遅いころの東京の空は、台風が置き忘れていったまがまがしい黒雲が次第にほころんで、台風一過にふさわしい青空を次第に広げようとしていた。通勤の電車に揺られながらiPodで聴いていた、ニュージーランドが生んだピュアボイスこと歌手、ヘイリー(18)の新作アルバム「オデッセイ」は、そんな不思議なコントラストの空のBGMにぴったりだった。澄んだ歌声で紡がれる物語は、時間の体感速度をも遅らせて、車窓の外の空が永遠に続くかのような錯覚に陥らせた。そのゆったりとした気分のまま、都内に滞在中の、その歌声の主を訪ねた。
text & photo by ENAK編集長


デビューから2年 大人になって…
いわゆるセミクラシックスタイルで、クラシックからポップスまで幅広い楽曲を美しい声で歌い上げる。「オデッセイ」は、ヘイリーにとって世界に向けての2作目のアルバムになる。14歳ですでにニュージーランドでCDを出して売れっ子だった。満を持して2003年、全世界向けのアルバム「ピュア」を出した。同じ年、人気を博したフジテレビ開局45周年記念ドラマ「白い巨塔」の主題歌に「アメイジング・グレース」が使われ日本でもその歌声は津々浦々まで流れた。

ヘイリーインタビューのための部屋に現れたヘイリーは、ブルーのタンクトップ姿。「ピュア」の宣伝のために来日した際にインタビューして以来、2年ぶりに会った少女は大人へと変化する渦中にいる雰囲気を身にまとう。背も少し、伸びたかもしれない。

今回の来日は、「オデッセイ」の宣伝のみならず愛知万博のイベントへの出演も兼ねる(27日午後6時半、28日午前11時の2回。ともに長久手会場EXPOドーム)

昨25日、リハーサルのため名古屋入りしたら帰京の新幹線が台風に襲われた。5時間がかりで深夜の東京に戻った。香港での宣伝活動に続いて23日に東京入りして以来休みなし。若いといってもさすがに疲れているはずだが、台風遭遇の経験を元気な声で教えてくれた。

「英語のアナウンスが1度しかなかったので、何が起きたのかわからなくて。車内販売は5分ぐらいで売り切れになったから、ひもじくて、もう大変でしたけど生還を果たしました!」

自信 製作全般に深く関与
「オデッセイ」の製作監修は前作に続き、ビートルズの製作監修者だったジョージ・マーティン卿の息子、ジャイルズ。「ピュア」のときと違ってヘイリー自身が製作の過程に深く関与しているのが今回の大きな特徴だ。編曲、録音後の内容調整、さらに「ホワット・ユー・ネバー・ノウ」という曲では作詞作曲も。この積極性は、デビューから2年で得た「自信」のたまものだという。

「『ピュア』が成功したことでレコード会社も私の意見にオープンになってくれたこともありますが、この2年間各地で公演をし、さまざまな仕事をし、経験を積み重ねたことが大きいと考えています」

「作曲家としても自信をもっている?」と問うと「あります」と即答。「今回『ホワット・ユー・ネバー・ノウ』を録音したからというだけではなく、この2年間でさまざまな経験を積みましたから。世の中には、これなら私の作ったもののほうがましだわ、という歌も出回ってますからね! いずれにしても、次回作では曲作りにもっと関与したいと思います」

強気の発言にもいやみがないのは、ひとえに笑顔のせい。説得力に満ちているのは、やはり自信に満ちあふれているせいだろう。いずれにしろ、良い経験を重ねた2年だったに違いない。

新作に収録されている「マイ・ハート・ビロングス・トゥ・ユー」というポップバラードは、とてもロマンチックなので、恋の経験も? と、よけいな水を向けると「18歳ですから、恋をしたっていいでしょ!」。屈託のなさは16歳のときのまま。

まだまだ続くオデッセイ
製作面にかかわったことは、トータルな音楽家として大きな前進だが、そればかりが魅力でなく、当然歌い手としてさまざまな挑戦をしてもいる。

ヘイリー 「自分の声の限界に挑戦しました。たとえば『クアンタ・クアリア』という歌では、とても高いミかレの音まで出しているんですよ。ただ、技術をひけらかすことよりも、いかにして歌が内包する感情を聴いてくれる人に伝えるか、のほうに腐心しました。ライブなら例えば顔の表情などで感情を伝えることもできるでしょう。では、CDではどうやって内面を伝えるか。それには歌にどっぷりと浸り、自分の感情を高めることだと考えます。時間をかけて、その歌を自分のものにするんです。みなさんにだって歌を聴いて『あ、その気持ち、わかる、わかる』ということがあるでしょ? 歌い手として歌を自分のものにするのも、そういう感覚と似ているかもしれません」

表題の「オデッセイ」は“冒険の旅”といった意味だが、母親との会話の中に出てきた単語で、「新作にぴったりだ」とひらめいたという。

「理由の第一は、この新作は私にとって2年ぶりの大冒険になるから。第二にさまざまなタイプの楽曲を収録していて聴いてくれる方は“音楽の旅”をしているような気分になるはずだから。それから言葉の響きそのものを気に入っちゃったから」

日本盤には、製作総指揮の亀山千広フジテレビ映画事業局長直々の指名で映画「ローレライ」(樋口真嗣監督)の主題歌として歌った「モーツァルトの子守歌」や、米伊英ルクセンブルグ合作映画「ヴェニスの商人」(マイケル・ラドフォード監督/アル・パチーノ主演 10月29日から公開予定)で使われる「ブライダル・バラード」などもボーナストラックとして収録されている。「白い巨塔」に始まって映像関係の仕事も少なくない。ハリウッドの大作映画で彼女の歌声が流れる日がくるのも遠い将来のことじゃないかもしれない…。

ヘイリーのオデッセイは、まだまだ続きそうだ。
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information

CD「オデッセイ」の装丁
オデッセイ
ユニバーサル/UCCL-1096
¥2,548


1. プレイヤー
2. ネヴァー・ソウ・ブルー
3. 誰も本当の愛を知らない
duet with アンドレア・ボチェッリ
4. アヴェ・マリア(カッチーニ)
5. 青春の光と影
6. ホワット・ユー・ネヴァー・ノウ
7. メイ・イット・ビー(映画『ロード・オブ・ザ・リング』より)
8. クアンタ・クアリア
9. アリア(カンティレーナ)(ヴィラ=ロボス:ブラジル風バッハ 第5番〜第1楽章)
10. シー・ムーヴズ・スルー・ザ・フェア
11. アイ・セイ・グレイス
12. マイ・ハート・ビロングス・トゥ・ユー
ボーナス・トラック
13. ブライダル・バラード(映画『ヴェニスの商人』より)
14. ママーズ・ダンス
15. モーツァルトの子守歌(フリース/モーツァルト)(映画『ローレライ』主題歌)


profile
1987年生まれ。ニュージーランド/クライストチャーチ出身。
6歳の時にヴァイオリンのレッスンを初め、その後、ピアノ、リコーダー、ジャズダンス、バレエなども習得していく。
2人の妹・弟と共に、バスキング(路上パフォーマンス)をしていた彼女は、2000年、にデモ・アルバムを作る。それが話題を呼び、ユニバーサル ニュージーランドと契約。
01年に発売されたNZデビューアルバムは、POPチャートを駆け上り、Didoやウェストライフ、ロビー・ウィリアムズを押しのけて、4週連続首位を。トリプル・プラチナを獲得し、国内で最も早くトップに上り詰めた女性アーティストとなった。
2003年夏、Deccaレーベルより、インターナショナルデビューを果たす。(ユニバーサルミュージックのサイトより)

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